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世界潮流を読む 岡崎研究所論評集
中東の台風の目となりつつあるヒズボラ
2019/09/04
岡崎研究所
ヒズボラは1980年代にシーア派の原理主義的組織として発足したものだが、近年、レバノンのスンニ派やキリスト教グループへの影響力を拡大しているようである。フリーランスのジャーナリストMichal Kranzは、Foreign Policy誌(電子版)に8月9日付で掲載された論説‘Hezbollah’s Rainbow Coalition’で、次のように指摘する。
・ヒズボラは、レバノンのあらゆるグループの不満に付け込むことに成功しており、かつてないほどキリスト教徒、スンニ派、ドゥルーズ派への影響力を強めている。
・ヒズボラが議会で非シーア派グループへの影響力を大きく増大させたのは2018年5月の議会選挙においてであった。ヒズボラグループが議席を増やしたのみならず、同盟関係にある「自由愛国運動」がレバノンのキリスト教政党で最も強力となった。その上、親ヒズボラのスンニ派議員6名が当選し、サード・ハリリ首相が率いる、従来支配的だった反ヒズボラ、スンニ派党である「未来運動」は議席の3分の1を失った。