本記事掲載のWedge5月号『創刊30周年記念インタビュー「新時代に挑む30人」』では、「ホンダジェット」の生みの親・藤野道格氏 やラグビー日本代表・リーチ・マイケル氏、USJ復活の立役者でマーケターの森岡毅氏、大峯千日回峰行を満行した大阿闍梨・塩沼亮潤氏など様々な分野で令和の時代を牽引していく30人にインタビューを行いました。

麹町中学校の教育には、徹底して生徒に「目的思考」を持たせるための工夫がなされている。そこには「自ら考え、行動できる人を育てたい」という、校長の信念が貫かれている。

工藤 勇一(くどう・ゆういち):1960年生まれ。東京理科大学理学部応用数学科卒。山形県・東京都の公立中学校教諭、新宿区教育委員会を経て、2014年から現職。「教育再生実行会議」など多数の公職を務める。(写真・稲田礼子)

 

 

 今の会社や仕事が、1年後にはどうなっているか分からない。変化に強い組織と個人を育てなければならない─。そんな社会の要請に応えるような教育を実践しているのが千代田区立麹町中学校長の工藤勇一だ。生徒たち自らが手がける行事の企画・運営に、その一端が垣間見える。

 例えば2018年5月に開催された体育祭。多くの保護者が訪れる中、観覧エリアはごく一部に限られ、立ち見を続ける人の姿も多く見られた。大型テントも保護者や来賓客は使用できず、生徒以外は立ち入り禁止。徹底的に「生徒ファースト」が貫かれていた。

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