2019年は公的年金の財政検証が5年ぶりに行われる。わが国の公的年金がいわゆる「100年安心」かどうかを検証するのである。

(PETER DAZELEY/GETTYIMAGES)

 

 

 夏には参議院選挙が予定されている。加えて、安倍晋三内閣は、第一次政権期に年金記録問題に翻弄(ほんろう)された経験から、年金が選挙の争点となることを忌避しているともいわれる。すると、今年の財政検証は、参議院選挙後になるのか。

 そうすることは、恐らく困難と思われる。過去2回の財政検証は、2009年2月と14年6月には結果を公表した。選挙後に先送りすれば、検証結果を選挙前に示せないほど政権にとって都合が悪いのか、と疑心暗鬼になりかねないからだ。

 では選挙前に出るであろう年金の財政検証では、何が焦点になるか。それは、将来にわたって安定して所得代替率が50%を維持できるような給付が出せて、かつ100年後でも年金積立金が枯渇しないかどうかを検証することである。

 ここでいう所得代替率とは、受給開始時の年金額がその時点の現役世代の所得に対してどの程度の割合かを示すもので、夫が正社員として40年間平均賃金で働き、妻が無収入の専業主婦である夫婦(モデル世帯)が2人で受け取る年金額を前提としている。受け取る年金額は、①夫の基礎年金、②妻の基礎年金、③夫の厚生年金からなる。

 

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