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 3月は転勤シーズン。顧客企業から異動の挨拶が殺到し、経営コンサルタントとして事務対応に忙殺されるシーズンでもある。昇格の栄転で意気軒昂たる人もいれば、行きたくもない転勤先を知らせる辞令に愕然とする人もいる。感情を露にすることを得意としない日本人でも、その書いたメールの行間を読めば、やはり言葉の端々に感情が滲み出るものだ。転勤はサラリーマンの宿命なのだろうか?

私は「転勤」でサラリーマンを辞めた

 私も転勤に苦い思い出をもつサラリーマンの1人だった。20年前、香港駐在中に日本への帰任辞令を受け取ったとき、ひどく落ち込んだ。海外の仕事が大好きだった。努力よりも結果、業績しか評価しない外国人上司は鬼のように厳しかったが、業績に追われる地獄のような日々に自分の価値を見出すことで無上の幸福を感じ、そして上司に感謝していた。

 帰任してみると、東京の職場は体育会系で厳然たるタテ社会の人間関係が存在し、数日も経たないうちに、「先輩を崇拝せよ」と冒頭に書かれた「職場の鬼の十カ条」たるメモを握らされた。仕事もやりたい仕事ではなかった。日々の出勤は苦痛でしかなかった。それがいずれ心の病につながるだろうと感じずにいられなかった。そのような状態で、自分も会社も満足できるパフォーマンスなど出せるはずもない。

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