写真:ロイター/アフロ

 

 ここのところ、私の企業マネージャー研修カリキュラムには、「トランプ流の問題解決法」が事例学習としてよく取り入れられている。トランプ氏はビジネスマン出身だけに、大統領になっても経営者感覚で国の運営や外交に当たっている感が否めない。

 企業経営も国家運営も原理的に相通ずるものがあるが、本質的な違いは独裁と民主の体制基盤にある。資本主義制度下の企業は株主の所有物であり、その経営の権限を経営者に付与した以上、不正を牽制する監査機能があっても、経営上の意思決定は経営者の独裁ベースで行われるようになっている。

 トランプ氏はこの経営者スタイルを政治の場に持ち込んでいるので、メディアや学者など多方面から反感を買うのも無理はない。さらに経営者には、その独裁的立場からして、古来の「帝王学」あるいは独裁を前提とする統治技術にあたる「君主の政治学」を学ぶ必要が生じる。これは戦後の日本人経営者に欠落している部分でもある

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