職場のパワーハラスメント(パワハラ)の規制に、政府がいよいよ本腰を入れようとしている。パワハラは、1911年の工場法(1916年施行)から始まる日本の労働法の100年の歴史のなかで、手つかずのまま残っている最後の主要分野の一つだ。

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 これまでパワハラに対して法が介入してこなかったのには理由がある。労働法の歴史をみると、法がまず介入したのは、長時間労働の制限や労働災害の防止や補償といった、労働者の基本的な権利にかかわる分野だ。基本的な権利は、どの企業で働く労働者にも最低限保障されなければならないから、法が介入するのは当然だ。一方、最低限の保障ラインを越えるプラスアルファの部分となると、必ずしも法が介入すべきものとはいえない。ハラスメントのない良好な職場環境の実現も、こうしたプラスアルファの分野に含まれ、本来は、企業が自らのポリシーで、従業員や労働組合の意見も聞きながら進めていくべきことだ。

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