李登輝の人生を語るうえで欠かすことのできないパートナーがいる。いうまでもなく、夫人の曾文恵だ。二人は1949年2月9日に結婚、今年70周年を迎える。

1996年の台湾総統選挙で、曾文恵夫人と手をつないで投票所に現れた李登輝さん(写真:AP/アフロ)

 曾文恵は李登輝と同じく、台北北部の淡水郊外にある三芝の生まれだ。ともに素封家として地元で知られた李家と曾家だったから、李登輝と三つ年下の曾文恵は半ば許嫁のような関係で育ったという。

 李登輝が日本統治時代の教育を評価して「日本が理想的な日本人を作ろうとして出来上がったのが、李登輝という人間だ」と自負するように、曾文恵もまた同じ教育系統のなかで育った。

 私から見れば、李登輝が日本精神を体現した人物だというならば、李登輝夫人の曾文恵は古き良き日本の女性に求められてきた教養や立ち居振る舞いを身につけた人だと感じる。そんな李登輝夫人の素顔が垣間見えるエピソードをいくつか紹介したい。

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