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チャイナ・ウォッチャーの視点
中国はいかにして「地獄の門」を開けるに至ったか
児童書で読み解く習近平の頭の中(5)
2018/08/19
樋泉克夫 (愛知県立大学名誉教授)
習近平国家主席を頂点とする現在の共産党政権中枢が幼少期を送った1950年代から60年代前半にかけて出版された児童向け書籍から、当時の共産党政権が育て上げようとしていた“理想の小国民像”を考えてみたい。それというのも“三つ子の魂百までも”の譬えに示されるように、政治の中枢に立った現在の彼らの振る舞いの芽は、彼らの幼い頃に植えられたのではないかと考えるからだ。
1963年当初から毛沢東最側近の2人――夫人の江青と「中国のベリア」と呼ばれた康生――は上海を拠点に京劇を軸とする文芸部門において、政権を掌握している劉少奇に対する攻撃を画策していた。