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【正論・年頭にあたり】皇位継承儀礼は伝統に則して 東京大学名誉教授・小堀桂一郎


東京大学の小堀桂一郎・名誉教授=2004年11月24日、東京本社14階役員応接室(小松洋撮影)


 


 平成28年8月8日に今上陛下が譲位の御意向を直接国民に向けて表明された時には、我が国の立憲政治確立以降前例のない難問が出来したとの印象があつた。それが昨年12月1日の皇室会議での決議を8日の閣議で正式の決定に漕ぎ着け、陛下の御意向に添ふ形で難題の決着がついた次第は先づは祝着の至りである。


 政教分離への小心な配慮無用


 これは天皇の国事行為について助言と承認の全責任を負ふ内閣が立派にその任務を果たしたわけであり、さすがに歴史的見識と政治的力量十分な現総理の率ゐる内閣にふさはしい事蹟と評価できる。


 但、予告された31年4月30日の御譲位、翌5月1日の改元といふ段取りには、その間になほ解決しておくべき幾つかの課題がある。それを摘記して、妥当な落着への推進を政府にお願ひしたいといふのが年頭に当つての感想である。


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