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(文:峰尾 健一)

家族をテロリストにしないために:イスラム系セクト感化防止センターの証言
作者:ドゥニア・ブザール
翻訳:児玉 しおり
出版社:白水社
発売日:2017-09-23

 実際にテロ組織に加入しようとする若者を引きとめたり、社会への復帰を支援したりといった活動を行う「イスラム系セクト感化防止センター(CPDSI)」の創設者によって書かれた一冊だ。

 著者はセンターを創設した2014年4月から2015年末までに、1134人の若者を支援してきた。活動の現場で目の当たりにした事例と、得られた知見がまとめられたのが本書である。著者らは相談者である親と連携し、子どものパソコンの中身や録音された電話の通話内容を調べ、親子との会話内容なども分析し、組織による洗脳や取り込みのプロセスについて事例を収集してきた。

 子どもが過激思想に感化されていくことに困り果てた親たちの相談を受けてきた経験から、組織に取り込まれつつある若者の家庭での振る舞いが、どのように変化していくのかについて細かく書かれている。

 洗脳が進むにつれ次第に、若者たちは組織が説くところの「宗教的実践」に従い始める。我が子の変化に戸惑う親たちの証言を引いてみたい。

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