【世界のかたち、日本のかたち】自衛力は憲法9条と矛盾しないどころか、話し合い解決を実現するのに不可欠な力だ 大阪大教授・坂元一哉
国際紛争を解決するために、武力行使を手段とすることはない。わが国は過去70年間、憲法9条のこの平和主義を厳格に守ってきた。今後もそうあり続けたいが、国際紛争(問題)を武力で解決しないとすれば、何によって解決するのか。
それはもちろん、話し合いで平和的に解決する。そういう原則的な答えに異議を唱える人は少ないだろう。
ただ国際社会には、解決が必要だけれども、話し合いでは容易に解決しそうにない問題が数多く存在する。わが国と世界の安全保障を大きく揺るがしている北朝鮮の核、ミサイル開発問題もその一つである。
そうした問題でも、ともかく話し合いによる解決を目指すとすれば、われわれには相当の知恵と忍耐、そして国際社会を味方につけ、さまざまな圧力を相手にかける、国家としての総合力が必要になるだろう。
なかでも強調すべきは自衛力の重要性である。話し合いがうまくいかなければ、相手は武力を行使する、もし武力を行使されたら自国を守れない、ということでは、まともな話し合いなど不可能だからだ。自衛力はこの意味で、憲法9条と矛盾しないどころか、その理想を実現するのに不可欠な力なのである。
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