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ベストセラー『サピエンス全史』を読む(下) [■論評]

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 世界的なベストセラーの下巻です。感想を一言で言えば、「著者の柔軟な発想に圧倒された」ということになります。平易な本ではありませんが、興味深いので、自然と読み進めることができました。以下、下線部分は著書の抜粋等、それ以外は評者の感想です。内容が多岐にわたるため、評者が恣意的にコメントしたい所だけを抜粋等していることをご了承下さい。

第12章 宗教という超人間的秩序

一神教は、宗教の歴史の圧倒的地位を占めてはいない。紀元前の世界には一神教信者はほとんどいなかった。また、仏教や儒教は、神への無関心が特徴である。

 日本人としては、特に違和感はありませんが、欧米の読者にとっては驚くべき事でしょうね。イスラエル人の著者にとっても、意外だったはずですね。

自由主義も社会主義も、人間至上主義という宗教であり、前者では自由を、後者では平等を守るという戒律が、最重要とされている。

 たしかに、「どうして自由や平等が大事なの?」と子供に聞かれても答えに困りますね。「理屈ではなく宗教だから」ということなのですね。

今ひとつの人間至上主義宗教は、一神教と縁を切った、ナチスの進化論的なものである。白色人種の優越性を説いていた人々も、同類であった。

 「劣等民族の皆殺し」が許されないことは当然です。しかし、「農作物に品種改良が行われているのだから、人間だって品種改良できるはず」というのは、論理的には正しいのでしょうね。それが「神への冒涜である」と考えるか否かは、宗教観なのかも知れませんね。それ以上に難しいのは、「何を改良と定義するのか」ということでしょう。宗教観からの議論なのでしょうか。時の権力者が改良の定義を決めてしまうのは怖いですね。様々な面で難しい問題ですが、人類の技術の進歩は、そうした検討を迫っているのでしょう。

 

 

 

 


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