安倍晋三首相は5月3日、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に憲法を改正したい意向を示した。
北朝鮮の核とミサイル開発が着実に進み、脅威が目の前に迫っているなか、また中国の軍事拡大が日本周辺の軍事バランスを大きく崩し始めているなか、これ以上、今の自衛隊という組織では日本を守り切れないという認識である。
これまで7回にわたって自衛隊の歴史を振り返ってきた。現憲法下でも自衛隊は国内にそして国外で様々な活動を行い、成果を上げてきた。しかし、本当に差し迫った危機にあっては、自衛隊という法律の規定が日本の防衛を危うくしてしまう。
最終回の今回は、この問題を徹底解説する。(前回の記事はこちら)
憲法に明示的な規定のない自衛隊
日本国憲法のどこにも「国防」についての規定はない。ましてや憲法制定後に「警察予備隊」から「保安隊」を経て創設された「自衛隊」の規定があるわけもない。
憲法では、前文で、我が国の安全と生存を諸国民の公正と信義に依存すると謳い、この考え方に従い、第9条1項で戦争の放棄を規定し、同2項で陸海空軍戦力の不保持及び国の交戦権を認めないことを規定している。
?
コメント 0