大地丙太郎(だいち・あきたろう)氏:アニメーション監督。『ナースエンジェルりりかSOS』(1995)でアニメ監督デビュー。主な作品に『こどものおもちゃ』(1996)、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!!マサルさん』(1998)、『十兵衛ちゃん』(1999、総監督)、『フルーツバスケット』(2001)、『信長の忍び』(2016)などがある。NHKで1998年から放送が開始した『おじゃる丸』は現在も放送中で、日本中の子供たちに親しまれている。
1本のアニメ作品に関わるスタッフは100人以上。アニメーション監督は、そんな大所帯を率いて作品の完成を目指すプロジェクトリーダーだ。作品をちゃんとまとまった形にするために、監督は打合せで狙いを説明し、成果物をチェックしてOKかNGかをジャッジする。アニメはそんな「打合せ」と「チェック」の積み重ねで出来上がっている。アニメーション監督はそこでどのようなマネジメントを行い、作品をあるべき形へと導いているのか。さまざまなアニメーション監督の作品づくりを支えるマネジメント術から、ビジネスパーソンにも役立つポイントを伝えていく。

頭の中のイメージをどう伝えるか


――大地監督は、監督という仕事について聞かれたら、どういうふうに説明しますか?

大地:監督の仕事って脚本打合せ(本読み)で意見を言ったり、絵コンテを発注したりチェックしたりとか、いろいろあるんですよ。でも、一言で言う時は、僕は「世界観を管理する役目」と答えることが多いですね。

 TVシリーズでは各話ごとに脚本も演出も担当者が変わるから、そういうメンバーを束ねて、『おじゃる丸』なら『おじゃる丸』らしくおもしろくなるようにしていく役割です。

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