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大和魂で綱取りを 9月26日

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2016.9.26 05:03

【産経抄】大和魂で綱取りを 9月26日

 舞の海さんが頭にシリコーンを入れて、新弟子検査に合格した逸話はあまりにも有名である。その2カ月前に一度、基準の身長に足りず、不合格を言い渡されていた。

 ▼その時、まるで自分のことのように落ち込んだのが、日大の先輩でもある現在の境川親方だった。当時の師匠に、なんとか入門できるよう、涙ながらに訴えてもくれていた。舞の海さんは後になって知る(『勝負脳の磨き方』育鵬社)。

 ▼そんな親方が率いる境川部屋は、角界屈指の稽古の厳しさを誇っている。高校横綱だった豪栄道は、稽古を見学してすぐに入門を決めた。「10年に1人の逸材」の前評判通りの快進撃が続く。かと思えば、野球賭博に関与して謹慎処分を受け、度重なるケガにも泣かされた。

 ▼山あり谷ありの土俵人生を経て、かど番大関はついに悲願の初優勝を果たしたしかも全勝である。何度も豪栄道から助言を求められてきた、舞の海さんの喜びもひとしおだろう。「これから相撲界の中心になるのは、境川部屋」。舞の海さんは3年前、小紙のコラムで言い切った。恩義ある先輩へのお世辞ではないらしい。「部屋が、武士道精神を伝えようとしている」からだ。

 ▼親方は弟子たちに、特攻隊員が出撃前に家族にあてた手紙の朗読を聞かせてきた部屋の旅行でサイパン島を訪れた際には、弟子といっしょに、落書きで汚された慰霊碑を磨いた。先人の犠牲のおかげで、相撲が取れるありがたさを忘れず、日本人としての誇りを持って生きてほしい。

 ▼豪栄道は大関昇進の口上で、そんな親方の教えを「大和魂」と表現した。11月の九州場所には、平成10年の若乃花以来という国産力士の綱取りが懸かっている。何より魂のこもった相撲を見せてほしい

 


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